この記事の結論
- 5,000万円の物件を10年住んで売ると、実質負担は約1,913万円
- 同じ10年、家賃14万円の賃貸なら約1,799万円。賃貸のほうが114万円軽い
- 分かれ目は家賃15〜16万円。「もったいない」かは条件が決める
「家賃はもったいない。買えば資産になる」——でも持ち家にも、家に残らない“掛け捨て”のお金があります。 毎月の返済額に混ざって見えないだけです。同じ10年を「買って売った場合」と 「賃貸で暮らした場合」、同じ物差しで比べます。
持ち家10年の“掛け捨て”は1,575万円
試算の前提
- 物件5,000万円(中古)・頭金0円・35年ローン・金利1.0%
- 管理費等 月3.5万円・初期費用は物件価格の6%(ローンに含む)
- 10年後に売却・物件価格は年1%下落・住宅ローン控除は満額適用
- 銀行に払う利息40%624.5万
- 管理費・修繕積立金27%420万
- 購入時の初期費用19%300万
- 売却時の仲介手数料10%155.8万
- 固定資産税など4%60万
- その他1%15万
掛け捨て1,575万円 − 控除で戻る140万円 + 売値の下落478万円 = 実質負担は約1,913万円。 毎月18.46万円払っても、資産として残るのは一部だけ。
同じ10年、賃貸と並べると
賃貸側は家賃+更新料(2年ごと)+入居初期費用−敷金の返還見込み。
この条件では家賃14万円でも、まだ賃貸のほうが114万円軽い。 分かれ目は家賃15〜16万円です。
なぜ分かれ目が家賃15〜16万円なのか
毎月の支払いは18.46万円。家賃15万円より3万円以上も高いのに、分かれ目が15〜16万円に来るのは、 返済のうち元金の部分が手元に残るからです。
元金として返した分は、消えたお金ではありません。売ったときに戻ってきます。 ただし家の値段も下がるので、まるごとは戻りません。その差し引きが、月3〜4万円ぶんに相当する—— だから支払額の差ほどには開かない、という構図です。
条件が変わると、どう動くか
| 変わるもの | 持ち家が有利になる向き |
|---|---|
| 住む年数 | 長いほど有利。初期費用と仲介手数料を年数で割れる |
| 金利 | 低いほど有利。変動なら将来上がる前提でも見ておく |
| 売値の下落 | 小さいほど有利。年1%と年2%では10年後に約440万円違う |
| 管理費・修繕積立金 | 安いほど有利。月1万円の差が10年で120万円 |
効き方がいちばん大きいのは住む年数です。 初期費用300万円と仲介手数料156万円は住んだ年数で割られるので、 5年で売ると年91万円、20年なら年23万円の負担になります。
お金の計算に出てこない違い
ここまでは全部お金の話です。実際の判断は、お金だけでは決まりません。
| 持ち家 | 賃貸 | |
|---|---|---|
| 引っ越しやすさ | 売る・貸すに数か月かかる | 1〜2か月で動ける |
| 住まいの質 | 設備を自分で選べる | 原状回復の範囲でしか変えられない |
| 老後の住居費 | 完済後は管理費と固定資産税だけ | 家賃を払い続ける |
| 高齢期の契約 | 住み続けられる | 入居を断られることがある |
| 修繕の負担 | 自分持ち。給湯器の交換で20万円など | 大家の負担 |
数字で114万円の差は、10年で割れば月1万円弱です。 転勤の可能性や、老後にどこに住むかのほうが、 この差より大きく効くことは珍しくありません。
結論:「もったいない」は計算問題
金利・住む年数・売値しだいで、この勝敗はあっさりひっくり返ります。あなたの家賃と検討中の物件で計算して初めて答えが出ます。入力は7項目・30秒。