この記事の結論
- 年末のローン残高の0.7%が、13年間(中古は10年)税金から引かれる
- 引かれる上限は住宅の省エネ性能で決まる。新築で基準を満たさないと0円
- 1年目だけは確定申告が必要。ここを逃すと取り返しに手間がかかります
年末の残高の0.7%が、税金から消える
住宅ローン控除は、12月31日時点のローン残高に0.7%を掛けた額が、 その年の所得税から差し引かれる制度です。 所得控除(課税対象を減らす)ではなく税額控除—— 計算し終えた税金から直接引かれるので、効き方がまるで違います。
年末残高3,000万円の場合
210,000円
3,000万円 × 0.7% = 21万円。これがその年の所得税から直接引かれます。
医療費控除で10万円の控除を受けても、戻るのは税率20%なら2万円です。 住宅ローン控除は21万円がそのまま21万円。 個人が使える制度としては、かなり大きい部類に入ります。
上限は、住宅の省エネ性能で決まる
0.7%を掛ける残高には上限があります。 そしてその上限は物件の省エネ性能で大きく変わります。 2026年に入居する場合は、こうなっています。
| 新築・買取再販 | 一般 | 子育て・若者夫婦 |
|---|---|---|
| 認定長期優良住宅・認定低炭素住宅 | 4,500万円 | 5,000万円 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | 4,500万円 |
| 省エネ基準適合住宅 | 2,000万円 | 3,000万円 |
| 上記のいずれでもない | 対象外 | 対象外 |
いちばん下の行を見てください。新築で省エネ基準を満たしていない家は、控除がまるごとゼロです。減るのではなく、使えません。 物件を選ぶ段階で確かめておくべき、いちばん大きな分かれ目です。
中古(既存住宅)は上限も期間も別の扱いです。 上乗せはなく、控除期間も10年になります。
| 中古(既存住宅) | 上限 | 期間 |
|---|---|---|
| 認定住宅・ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | 10年 |
| 省エネ基準適合住宅・その他 | 2,000万円 | 10年 |
「子育て世帯・若者夫婦世帯」とは、入居する年の12月31日時点で19歳未満の子どもがいるか、夫婦のどちらかが40歳未満の世帯です。 中古にはこの上乗せがありません。
13年合計でいくらになるか
毎年の残高は返済で減っていくので、13年間ずっと満額ではありません。 ざっくりの感覚としては、こうなります。
借入3,500万円・金利1.0%・35年返済・ZEH水準の新築
約 263万円
13年間の控除額の合計。初年度は約24万円、13年目は約16万円まで下がります(毎月の返済は98,800円)。
試算の前提
- 元利均等返済・ボーナス返済なしで、13年間くり上げ返済をしない前提
- 各年末の残高に0.7%を掛け、ZEH水準の上限3,500万円でキャップした概算
- 所得税額が控除額を下回る年は、引ききれない分が出ます(下記参照)
- 実際の額は金利・返済方法・入居月で変わります
使うための条件
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 所得 | 合計所得金額2,000万円以下。超えた年はその年だけ使えない |
| 床面積 | 登記上50㎡以上(新築で所得1,000万円以下なら40㎡以上の特例あり) |
| 返済期間 | 10年以上。くり上げ返済で10年を切ると、そこで打ち切り |
| 居住 | 取得から6か月以内に住み、その年の年末も住んでいること |
床面積は「登記簿の数字」で見ます。マンションの広告に載っている専有面積(壁の中心で測る壁芯面積)は、 登記簿の面積(内側で測る内法面積)より数%大きく出ます。 広告で52㎡でも、登記簿では49㎡台ということが起こります。 ぎりぎりの物件は、契約前に登記簿の数字を確かめてください。
1年目だけは確定申告
| やること | 期限 | |
|---|---|---|
| 1年目 | 自分で確定申告 | 入居した翌年の3月15日ごろ |
| 2年目以降 | 勤め先の年末調整に書類を出すだけ | 毎年11〜12月 |
会社員にとって、人生で確定申告をする数少ない機会のひとつです。 必要になるのは、住民票・登記事項証明書・売買契約書の写し・金融機関から届く年末残高証明書・源泉徴収票など。 省エネ性能で上限が変わるので、住宅性能評価書や認定通知書も要ります。 これは引き渡しのときにもらう書類なので、なくさないでください。
申告を忘れても、5年以内なら還付申告でさかのぼって受けられます。 ただし2年目以降の年末調整が始まらないので、 気づいた時点で早めに手続きするに越したことはありません。
控除があるから買う、ではない
13年で263万円は大きい額です。ただ、同じ期間に支払う ローンの利息は、同じ条件(借入3,500万円・金利1.0%・35年)で約382万円。控除はそれを埋め切りません。
控除は「買うと決めた人が受け取るもの」であって、 買う理由そのものにはなりません。 初期費用・利息・管理費・売るときの仲介手数料まで含めて、 手元にいくら残るのかを先に見てから決めてください。