この記事の結論

  • 保険は「逆宝くじ」。仕組み上、入る人全体では必ず払うほうが多い
  • それでも入る意味があるのは「起きたら人生が詰む損失」だけ
  • 医療費には公的な天井がある→貯蓄で。賠償には天井がない→保険で

日本の世帯が保険に払っている平均額(生命保険文化センター調査)

年37.1万円

30年で1,100万円超。なのに「なぜこの保険に入っているか」を説明できる人はほとんどいません。

大前提:保険は「逆宝くじ」

収支相等の原則——みんなが払う保険料は、みんなが受け取る保険金+保険会社の経費に 分けられます。つまり受け取る側は、払った総額より必ず少ない。 宝くじとの違いは、「不幸」に当たると受け取れることだけです。

保険は増やす道具ではなく、「詰み」を回避する道具。 平均して損なのは織り込み済みで、人生が終わるレベルの事態を月数百円で避けるために払う。

判定は1つだけ:「起きたら人生が詰むか」

起きること損失の上限判定
大きな病気・ケガ月9万円前後で頭打ち※🏦 貯蓄で備える
家電の故障・車の修理数万〜数十万円🏦 貯蓄で備える(延長保証も不要)
働き手の死亡(子あり)数千万円規模☂️ 保険(掛け捨ての定期・収入保障)
他人への賠償上限なし(9,521万円の判決例)☂️ 保険(個人賠償・月100円台)
火事で家が全焼数千万円規模☂️ 保険(火災保険)
※高額療養費制度による自己負担の月額上限(年収約370〜770万円の場合)。

「損失に天井があるか」「貯蓄で耐えられるか」だけで仕分けできます。 貯蓄で耐えられる損失に保険を掛けるのは、確実に損な賭けを増やす行為。

小学生の自転車事故に下った賠償額(神戸地裁・2013年)

9,521万円

賠償に公的な上限はありません。これをカバーする個人賠償責任保険は月100〜200円。「詰みを月100円で回避」——保険がいちばん輝く使いどころです。

ちなみに「何かあったら不安だから、とりあえず」で入った保険は、 だいたい上の表の🏦側に掛かっています。お守りは神社で買うほうが圧倒的に安いです。

「貯蓄で耐えられる」の中身

表の判定は「貯蓄で耐えられるか」で決まります。 では、いくらあれば耐えられるのか。 医療費の場合は、意外とはっきりした数字が出ます。

入院中にかかるお金めやす(1か月)
医療費の自己負担高額療養費の上限まで。年収約370〜770万円なら9万円前後
食事代(保険適用外)1食490円 × 3食 × 30日 = 約4.4万円
差額ベッド代(希望した場合)1日6,000〜8,000円。30日で18〜24万円
日用品・家族の交通費数万円
差額ベッド代は、自分で希望しなければ払う必要はありません(治療上の必要や病院都合なら無料)。

差額ベッドを希望しなければ、1か月の入院で15万円前後。 これが「貯蓄で耐えられるか」の相場です。貯蓄が50万円あれば、ほとんどの入院は乗り切れます。

見落とされがちな、収入が止まるリスク

医療費そのものより重いのが、働けない間の収入です。ここにも公的な備えがあります。

制度内容
傷病手当金(会社員)給与のおよそ3分の2を、最長1年6か月
障害年金障害が残った場合。等級に応じて継続して支給
労災保険仕事中・通勤中のけがや病気なら、医療費の自己負担はゼロ

自営業・フリーランスには傷病手当金がありません。会社員とフリーランスで、必要な保険はまるで違います。 同じ「医療保険が要るか」でも、答えが変わる最大の分かれ目です。

入るなら、どう選ぶか

表の☂️側に当てはまって「入る」と決めたあとも、 選び方で金額は何倍も変わります。判断の軸は3つです。

軸考え方
掛け捨てか、貯蓄型か保障だけなら掛け捨て。貯蓄は別の手段のほうが効率がよい
保障額遺族年金と配偶者の収入を引いた「足りない分」だけ
保障する期間子どもが独立するまで。終身である必要があるかを問う

いちばん効くのは期間です。子どもが独立すれば、必要な保障は大きく減ります。 「一生涯の保障」は安心に聞こえますが、 必要のない期間まで払い続けることでもあります。

で、あなたの場合は?

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家を買った人は団信と生命保険の二重払いの話、貯蓄型に入っている人は貯蓄と保険を混ぜるといくら失うかの話へ。