この記事の結論

  • 借入5,300万円・35年なら、利息は金利1%で984万円、3.3%で3,644万円
  • 月々の差は2.6万円でも、総額の差は1,000万円級。「たった1%」の正体
  • 変動で借りるなら「上がった場合の総額」まで見てから

広告に書いてあるのは「物件価格」と「月々の返済額」だけ。 35年かけて銀行に払う利息の総額は誰も教えてくれません。 利息は家に残らない、純粋な掛け捨てです。

金利別・利息総額

試算の前提

  • 借入5,300万円(物件5,000万円+初期費用6%を全額ローン)
  • 35年・元利均等・ボーナス払いなし。表中の金利で完済まで固定
  • 金利水準は2026年8月時点の相場(変動0.85〜1.1%、フラット35で3.3%前後)
35年完済までに銀行へ払う利息の総額
金利 0.5%月13.76万円478万円
金利 1.0%月14.96万円・いまの変動水準984万円
金利 1.5%月16.23万円1,516万円
金利 2.0%月17.56万円2,074万円
金利 3.3%月21.29万円・フラット35水準3,644万円

棒の長さは利息総額。ラベル横は毎月の返済額。

1.0%と2.0%の差は月々では2.6万円。でも総額では同じ家で1,090万円の差。 「たった1%」の正体です。

変動金利は「いまの表」のとおりには終わらない

変動1.0%で借りて、途中で金利が上がった場合の利息総額
順調(1.0%のまま)984万円
ふつう(3年後に+0.5%)1,430万円
厳しめ(2年後と6年後に+1%ずつ)2,780万円

色分けは本音家計の「見通し」シナリオと同じ。

変動の安さは振れ幅を自分で引き受ける対価。 固定3.3%は「振れ幅を銀行に引き取ってもらう保険料込みの値段」。 どちらが正解かは決まっていません——数字で振れ幅を見てから選ぶだけです。

利息は「前半に」払っている

1年目の毎月返済額の中身(金利1.0%)14.96万円/月
10.64万円
4.32万円
元金(資産になる分) 10.64万円利息(掛け捨て) 4.32万円

元利均等返済は支払額が一定でも中身は一定ではない。残高の大きい序盤ほど利息の取り分が大きい。

途中で売る人ほど「利息ばかり払った期間」だけを切り取ることに。 繰り上げ返済が「早いほど効く」のも同じ理屈です。

繰り上げ返済は、いつやると効くのか

利息が前半に集中するということは、繰り上げ返済も早いほど効くということです。 同じ100万円でも、返す時期で減る利息がまるで違います。

100万円を繰り上げ返済する時期減る利息のめやす
1年目約40万円
10年目約28万円
20年目約16万円
30年目約5万円
借入4,000万円・金利1.0%・35年・期間短縮型での概算。

同じ100万円が、1年目なら40万円、30年目なら5万円。8倍の差です。 繰り上げ返済を考えるなら、早い時期ほど価値があります。

ただし、急いで返すべきとは限りません

利息が減るのは確かですが、先に確かめることがあります。

確かめることなぜ
住宅ローン控除の期間中か残高が減ると控除額も減る。金利1%未満なら控除のほうが大きいことがある
手元の現金は残るか繰り上げ返済した分は引き出せない。失業や病気に対応できなくなる
期間短縮か返済額軽減か利息を減らすなら期間短縮。毎月を楽にしたいなら返済額軽減
団信の保障が減ることに納得できるか残債が減る=死亡時の保障も減る

控除率0.7%より金利が低いなら、控除期間中は返さないほうが得という逆転が起きます。 金利1.0%でも、所得税が少なくて控除を使い切れない人には当てはまりません。 自分の数字で確かめる必要があります。

結論:見るのは「総額」と「振れ幅」の2つ

月々の返済額は金利の重さを覆い隠します。金利のつまみを動かすと、 利息総額がその場で変わります(変動・全期間固定の切り替え対応)。

自分の借入額で利息総額を計算する