この記事の結論
- もらえる額は「前の給料の50〜80%」。給料が低い人ほど率は高い
- 自己都合の給付制限は、2025年4月から原則1ヶ月に短縮された
- 受け取れるのは離職から1年以内。先延ばしにすると日数が残っていても切れます
毎月の給与から引かれている、あの保険料の出口
給与明細の「雇用保険」は、額面のおよそ0.5%。 年収500万円なら年2万5千円ほどを払い続けています。 その主な出口が、失業給付——正式には雇用保険の基本手当です。
いくらもらえるか
計算は2段階です。まず1日あたりの額を出し、 それに日数を掛けます。
| 手順 | 計算 |
|---|---|
| ① 賃金日額 | 辞める前6か月の給与の合計 ÷ 180(ざっくり 年収 ÷ 360) |
| ② 基本手当日額 | 賃金日額 × 給付率50〜80% |
| ③ 総額 | 基本手当日額 × 所定給付日数 |
給付率が幅を持っているのは、給料が低い人ほど高い率になる設計だからです。 賃金日額が5,200円以下なら80%、12,790円以上なら50%。 その間はなだらかに下がります。
さらに、基本手当日額そのものに上限8,635円があります。 高収入だった人ほど、率でも上限でも頭を抑えられる仕組みです。
年収500万円・勤続12年・自己都合で辞めた場合
約 83万円
基本手当日額6,944円 × 所定給付日数120日。受け取りは4週ごとの分割です。
試算の前提
- 賃金日額 = 500万円 ÷ 360 = 約13,889円
- 13,889円は上限ラインの12,790円を超えるため、給付率は50%
- 基本手当日額 = 13,889円 × 50% = 6,944円(上限8,635円の範囲内)
- 自己都合・被保険者期間10年以上20年未満なので、所定給付日数は120日
- 実際の額はハローワークが離職票をもとに決定します
日数は勤続年数と、辞め方で決まる
| 雇用保険に入っていた期間 | 自己都合の給付日数 |
|---|---|
| 10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
会社都合なら、90〜330日とぐっと長くなります。年齢と勤続年数で決まり、自己都合の2倍以上になることも珍しくありません。 給付制限も付きません。
離職票に書かれた離職理由でこれが決まります。 実質的に辞めざるを得なかったのに「自己都合」になっているなら、 ハローワークに申し立てができます。 残業時間の記録や退職勧奨のやりとりが残っていれば、会社都合に相当する扱い(特定受給資格者)に 変わることがあります。差は数十万円になります。
いつから振り込まれるか
| 自己都合 | 会社都合 | |
|---|---|---|
| 待期期間 | 7日 | 7日 |
| 給付制限 | 原則1か月 | なし |
| 最初の入金まで | おおむね2か月前後 | おおむね1か月前後 |
給付制限は2025年4月から原則1か月になりました。それ以前は2か月だったので、古い記事と食い違います。 手続きした日からすぐ出るわけではないので、 最初の1〜2か月分の生活費は自分で用意しておく必要があります。
期限は「離職の翌日から1年」
ここがいちばん見落とされます。 給付日数が120日残っていても、離職から1年を過ぎた時点で打ち切られます。
「しばらく休んでから探そう」と手続きを後回しにすると、 もらえるはずだった分が消えます。自己都合なら給付制限の1か月もあるので、離職票が届いたらすぐ手続きするのが原則です。
病気・けが・妊娠・出産・育児・親の介護ですぐ働けないときは、受給期間の延長を申請できます。最長3年まで伸ばせます。 これも期限があるので、働けないと分かった時点で相談してください。
受け取るための条件
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 加入期間(自己都合) | 離職前2年間に、通算12か月以上 |
| 加入期間(会社都合) | 離職前1年間に、通算6か月以上 |
| 状態 | 働く意思と能力があり、求職活動をしていること |
| 認定 | 4週に1度ハローワークへ行き、求職活動の実績を報告 |
すぐ働けない人は対象外です。病気で療養中なら傷病手当金、出産なら出産手当金と育児休業給付、 というふうに窓口が変わります。 「働けるのに仕事がない」人のための制度だからです。
辞める前に確かめておくこと
失業給付は非課税です。所得税も住民税もかかりません。 ただし前年の所得にかかる住民税は、退職後も請求が続きます。 国民健康保険料と国民年金保険料も自分で払うことになるので、 手取りの感覚で考えると足りなくなります。
会社都合での離職なら、国民健康保険料の軽減(前年所得を 30%とみなす特例)を受けられることがあります。 こちらは自分で申請しないと適用されません。
ほかにも取りこぼしていないか
退職の前後は、使える制度がいちばん多く重なる時期です。 失業給付、教育訓練給付、健康保険の任意継続、国民年金の免除。 どれも申請しないと1円も出ません。
制度診断に年収と状況を入れると、 いま使えるものと、おおよその金額をまとめて確かめられます。