この記事の結論

  • 5年で売ると持ち出しは約1,183万円(月19.7万円で借りて住んだのと同じ)
  • 総額は住むほど増えるが、1年あたりの負担は住むほど軽くなる
  • 「合わなかったら売ればいい」は、売る前提の計算をしてから

「一生住むつもりはないけど、合わなかったら売ればいい」——売ることはできます。 問題は、何年で売るかで出ていくお金がまるで違うことです。

売る時期で、手残りはこう変わる

試算の前提

  • 物件5,000万円(中古)・頭金0円・35年ローン・金利1.0%
  • 管理費等 月3.5万円・初期費用は物件価格の6%(ローンに含む)
  • 物件価格は年1%下落・住宅ローン控除は満額適用
売る時期別・手元から出ていくお金
3年後に売る292万円/年−875万円
5年後に売る237万円/年−1,183万円
7年後に売る212万円/年−1,483万円
10年後に売る191万円/年−1,913万円
15年後に売る177万円/年−2,652万円
20年後に売る166万円/年−3,327万円

「◯◯万円/年」は負担÷住んだ年数。

見るべきは1年あたり。5年売却は237万円/年(月19.7万円相当)で、 20年住む場合より4割以上割高。短く住むほど、持ち家は「割高な賃貸」になります。

短期売却が割高になる理由は3つ

① 初期費用300万円と仲介手数料160万円は固定料金——3年で売っても20年でもほぼ同額。 ② 利息は前半に集中——序盤は資産(元金)があまり積み上がらない。 ③ 住宅ローン控除は住むほど積み上がる——10年で140万円、3年なら42万円だけ。

売れる値段しだいで、さらに振れる

5年後に売る場合・値下がりの想定別
順調(値下がりしない)5,000万円で売却−898万円
ふつう(年1%下落)4,755万円で売却−1,183万円
厳しめ(年2%下落・金利も上昇)4,520万円で売却−1,510万円

色分けは本音家計の「見通し」シナリオと同じ。

買った値段のまま売れても約900万円は消えます。 短期で住み替えるつもりの人ほど、物件の資産性(値下がりしにくさ)が効きます。

売るときにかかるお金

買うときの初期費用は意識されますが、売るときにもまとまった額がかかります。ここを数えずに「いくらで売れるか」だけ見ていると、手残りを読み違えます。

売却時にかかるもの4,755万円で売った場合のめやす
仲介手数料約160万円(売値の3%+6万円+消費税)
抵当権の抹消1〜2万円(司法書士へ頼む場合)
印紙税1万円(売買価格1,000万〜5,000万円)
引っ越し・ハウスクリーニング10〜30万円

いちばん重いのは仲介手数料です。売値に比例するので、高く売れるほど手数料も増えます。 上のグラフの負担額には、これも織り込んであります。

5年以内に売ると、税金も重い

売って利益が出た場合、その利益には税金がかかります。 税率は所有していた期間で2倍近く変わります。

所有期間区分税率(所得税+住民税)
5年以下短期譲渡所得39.63%
5年超長期譲渡所得20.315%
判定は「売った年の1月1日時点」で5年を超えているか。実際に住んだ年数とはずれます。

この5年は、買った日から数えて5年ではありません。売る年の1月1日時点で判定するので、 実質的には6年目以降に売らないと長期にならないことがあります。 境目にいるなら、売り出す時期をずらすだけで税額が半分になります。

ただし自宅を売る場合は3,000万円の特別控除があり、 利益が3,000万円以下なら税金はかかりません。 値下がりしている今回の例のように、そもそも損失なら課税されません。 税率の差が効いてくるのは、値上がりした物件を売るときです。

結論:売る前提の数字を見てから買う

5年で売る可能性があるなら、見るべきは「35年住む前提の月々」ではなく「5年で売った場合の手残り」。売る時期のつまみを動かすと、その場で変わります。

売る時期を変えて計算してみる